固有名詞
部屋に空気が流れ込んでくる瞬間が好き。
秋の匂いは金木犀の香りだと思っている。
中高時代に下校道の脇に咲いていた金木犀。
「この香りは何だろう?」って、気づけば一番好きな匂いになっていた。
秋になると毎年思うことがある。
何か1つの道を極めたらきっと私は何者かになれると思う。
昔からずっと思っているけど、まだなることができない。
「固有名詞」的な存在。
私じゃなくてもできる仕事はしたくないし、私の代わりに誰かが上手くできる仕事はしたくないって思っている。
でも、誰でも基礎基盤というものが大事で、それは誰でもできるようなことから始まる。
だから、基礎をおろそかにしてはいけないけど、
せっかちは私はつい「何者かになりたい」という感情のみが先走ってしまって、
その感情を消化できなくなるのが、秋。この季節。
大学受験も終わって、私が進んだ学部は某職業を量産する学部。
結局自分で選んだ道でも量産型なのだと今更悟っている。
中高時代に思った「何者かになりたい」という想いよりもずっと重くなっているこの気持ち。
厨二病なのかな、と思うけど、もともと私がミーハーなせいもあるかもしれない。
私はレールに従わずに自分の道を切り開く人が好きだ。
私はレールに従ったかはともかく、自分の道を切り開くはずが結局また自分でレールを敷いてもらうように頼んでしまった気がする。
固有名詞になりたい。
秋の夜は夏の夜よりも長くなってきて、冬になればさらに日の入りが早くなってしまうんだよね。
私の猶予期間はあともう少しで終わってしまう。
何者かになるにはこの期間のうちに何かしなければいけないのだろうけど、
私は私の飽き性のせいで「何かをしたい」というこれといったものがない。
だけど、何者かになりたい。
とりあえず、目の前のことに打ち込んでみよう。
これが今の気持ち。